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日頃の行動をメモ。消しゴムで消して作品へと昇華する前の、日々の下書き。
This is my dairy memo. These will be a work after brush up process. .




    2022.SEP

9/15-18 東京ゲームショウ2022

結局7年かかった battleship Godios が TGS2022のインディー選考枠に通ったので出展してきました!
「なぜMSXじゃないのか?」の深い理由は後述します!今回は playdate専用ゲームです




9/14 前日準備日
以前playdate mini-expoの時に使用したオレンジの布を再利用。
偶然にも左右のSOWNノミネートのオレンジと一致で非常に面白い状態に!(笑)



前日準備日に設営をするインディーは非常に少ない。2回目のbitsummitの時なんか2人しかいなくて驚いたことがある(三原さん元気ー?)


後日観察していると、pcは用意されているしあとは当日来てゲームをインストールし、ボードにポスター張って終わりな感じが多い。

だが私はもうずっと、
事前にどう設営するかをずっと思案し計画し、前日入りして設営がうまく現場にマッチするか確認し問題が出たら当日に修正できるようにしてきた。
なぜなら、いかに自分のブースがcoolでカッコよく設営できたとしても、周囲がどういう設営をするかで、埋もれたり、目を引かなかったりするからだ。やはりリアル現場で設営して感じることは机上とは完全に違う。
当日に周囲が設営し終わったあと、遠くから歩いて近寄ってみて、来場者側の視点で効果を確認し問題があれば次の日に修正をかけるのは普通な流れだ。

このプロセスは、ゲーム製作とロケテ、に関係が近い。

まず自分が作りたい形を作り上げる。しかし作ったものは、残念ながら時代の流行や、今の人たちがどういうゲームで普段遊んでいるか、といったことと比較される。どんなにそれそのものが優れていても、見せ方でつまらなく見えたり、古く見えたり、価値がないように見えたりする。
なので一旦作ったあとに、多くの人に初見でプレイしてもらい、まったく口を挟まずにちゃんとこちらが思ったとおりにプレイし楽しんでくれるか?を観察し、ダメならそうなるよう、元のニュアンスを壊さない範囲でいろいろ改善案をひねり出して実装し、またプレイしてもらい確認する。その繰り返しで多くの人に伝わる普遍的な形に仕上がっていくのだ。。それが表現に至る普通のプロセスである。

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結局設営は、布の固定に結構苦労したり(布は重さがあり固定が難しい)、pcの壁紙が権限制限で張り替えが出来ず修復を依頼する必要があったり、また有線LANを引いてもらうことができたりと、やはり前日入りでできたことは多かった。この有線LANは、結果的に来場者にゲームの背景やあれこれをさっと説明するのにも大活躍したので非常によかった。



9/15 東京ゲームショウ2022 ビジネスディ1日目

当日セッティング:


左右のオレンジに挟まれて王様のシートのごとくなブースとなり、なんか申し訳ない限り(笑)

読みとしては、おそらくほとんどのブースが黒背景にポスターだろうと思っていたので、黒を殺してコントラストを出し、playdateカラーであるオレンジをブース全体にカラーリングすることでplaydateゲームぽさを出す、のが今回のテーマだったので概ねよい感じに収まった。


モニターにシミュレータおよびSDKのアスキーアート:


最も頭を悩ませたのがモニタの使い方だった。もちろんモニタにplaydateのゲーム画面を大きく表示させることは可能だ。遠くからのキャッチにもなる。だが、そうすると、そもそも小さなデバイス上で見る体験とは異なり、遠くから見る来場者には、普通のシューティングのゲームブースに見えてしまうので避けたい。そこで、playdateのSDKドキュメント内にある、アスキーアートでのデバイス説明を表示することにしたのだ。オライリー本ぽいので、開発者には訴求するだろうと!たぶん(笑)


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今回来場者には、すでにplaydateの予約をしてずっと待っている、という人も多く来られた。もちろん供給が追いついていないのは予約が殺到していることのみならず、今の世界情勢で物価高騰やエネルギー価格高騰でリアル物質の調達が難しいこともある。特に playdateは ichigojamや ardinoboyのようなワンチップオンボードを使っているわけではなく独自設計なので、チップが生産中止になると回路の設計からやり直しになったりする(!)のでさらに遅れたりする。まあそういうデバイス設計をゼロから、がとてもよい姿勢なので長く一緒に走ってきたわけだけど(笑)

なので、そういった待っている人たちがより待つのを楽しみに感じられるような対応を心がけるのも今回の出展の、いつもとは違うスタンスだった。Godiosが playdateゲームの代表に見えては問題だし(もちろんそれくらいの気持ちで作ったわけだけど)他にもいろんなゲームがあり、またクランクの可能性がある、ということも話したりした。思えばかつて任天堂の山内博社長が講演で、N64のアナログスティックの新しい装置による新しいゲーム性、を力説されていて、やはり新しいゲーム性のためには新しい入力装置が必要なわけで、playdate のクランクはまだまだ可能性が開けている直感がある(私の手が追いつかないだけで)


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たまたま プレイした人がゲームの中盤でものすごく驚いて、「これだったら審査基準は違った!」と叫んでいて、聞くとTGSのセンスオブワンダーナイト(SOWN)の審査の人だった(笑)今回応募時にまだ Godios自体が配信リリースされておらず Panic社の許可が下りなかったのもあるが、実は動画で出したくなかった重要な理由があった。
というのも、こうして驚いてもらえるのも、事前に「戻る」と知らないからであり、知っていれば、それは映画でいえばラストを知って見れば、ただの確認にしかならないことと同じで、そういえば実際に来場者で、ああ事前に知ってるな、という方が何人かいらして、確認して以上、みたいなプレイで、非常にもったいないなと思ったが、
私としては、実機で生で体験して感じてもらいたかった、というのがあったし、なにより「戻る」のが、くるくる回すクランク ( crank ) でしか味わえない感覚であることも、映像ではわからないことだからなのだ。

とまあそういうのを説明すると「わかる!わかるんだけど!」とおっしゃっていて、その気持ちもわかる(笑)たぶんこの体験をしていたなら、SOWNのノミネートはされただろう。それくらいエッジの効いた見たことのないものを作っている自負も確信もある。だがノミネートされれば動画でそれが多くの人にプレイ前に知れ渡ってしまう。だが私はプレイした人に驚いてもらうために長年構想してきてやっと実装を可能にし、またまったく初見で知らずにクランクをまわして動作を発見するまでのプロセスを詰まることなく誰でも行き着く手練手管を試行錯誤の末実装してあるので、そんな形で広まっても私が体験してもらいたい体験は広がらないのだ。そもそもこういった小さなハード向けにゲームを作る、というのは、未知なるアナログ体験をするためであり、それは SNSなどの動画などでは物理的に伝わるのが不可能で、だからこそ「実を取った」のが現状である。つまり広くは知られないけど遊んだ人が受けた衝撃はとてつもなく大きく (今回、誰もがプレイして発見した時に、ものすごく驚いたり感心したりしていた)、それこそが、私がゲームを作って与えたい「人の人生を変えるほどの衝撃体験」そのものなのだ。私だって人生を変えられた沢山の作品の果てに現在の自分があり、その恩返しはこうして作品を作ることで返していくのです。



9/16 東京ゲームショウ2022 ビジネスディ2日目

自分で作ったゲームを実機でプレイしたい!という人の要望に応える:



現在 playdate は実機は予約待ち状態だが、開発環境は自由にダウンロードできる。
だが、もちろんシミュレータ上では無限大の速度は、実機では当然出ない。Unityに慣れた知り合いが 1000ポリゴン動かすゲームを作って実機に流し込んだらフリーズしたと言っていて、環境知る私には「そりゃ無理だべ!」ということも、やはり実機がないとなかなかわからないものだし、画面の大きさ、キーを押してのプレイなど、やはり実機上で動かしての感じはシミュレータ上とは全然違うもので、時にはUI設計からやり直しになったりするほど違ったりする。

今回はpc上にシミュレータが入れてあり、また2台あるデモ機の片方がUSBでpcに繋いであるため、pcに実行ファイル(pdx)を入れれば、そこからシミュレータ経由で実機に簡単に流し込めるようにしてある。

今回持ってきたゲームは、ブラウザ上で開発できるツールを使って作られたもので、タイルタイプのゲームしか作れず playdate の特性を生かせないので私はあまりオススメしたくないのだが、彼が作ったゲームを見ると、倉庫番なパズルを作りこんでおり、BGMもちゃんとあり、そして40ステージも作っており、をを!なるほど、環境どうこうより、作る意志なんだなあ!と感心させられました。私のゲーム投稿時代もこんな感じだったのかも。思えば MSX だって最初はFM-7と比べて色数もスプライトも武骨でへっぽこだなあと思ってたなあ!(笑)

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ビジネスディは総じて、大手企業の開発の方も結構来られ、playdateの浸透を肌で感じた。
クランクをゲーム性に付与するデザインはかなりのパラダイムシフトを要求されるのですが、それを乗り越えるゲームが今後多く作られるのが私の個人的楽しみでもある。釣りゲームとかバッテリ充電とかオルゴールとか手回しレコードとか、そういった古いパラダイムから抜ける発想が必要なのだが、私でも4,5年はかかったなあ抜けるのに(笑)抜けられないと、ゲーム中になんかアイテムを回転させて裏のスイッチを発見する、とかくらいしか使い道がないんですよねえ。。



9/17-18 東京ゲームショウ2022 一般日

モニタのディスプレイを実機動画に変更:



来場者をずっと観察していて気付いたのだが、結局人は目に入るものを見て判断しブースをフォーカスしたりスキップしたりする。遠目で見て、テーブルの上に置いてある小さな黄色いデバイスは、ゲーム機と識別できず、下手をするとグッズなどのアメニティと捉えられてた可能性があった。モニタに映っているものが自分の好みのゲームかを瞬時に判断するわけだ。
なので、ちょうど play.date のホームページトップにある、ゲーム機本体のリアルタイムレンダリングをそのまま使うことにしたのだ。アスキーアートなオライリーは残念だがここで終了(笑)以降キャッチされる確率がアップした。そう思うと、よく八百屋さんとかでオヤジさんが手を叩いたり、声を上げたりしているのは、注意を引くためなんだなあと思った。光るライトとか、実はそういう注意を引くデバイスなんだ、と再確認したりしました。ただTGSでは、そうでなくても多くのブースでなされるため、声をかけたり呼び込んだりはあまり効果的ではないしイヤがられる傾向にあるので注意が要る。あくまでも静的に待ちなキャッチが望ましい。


TEENAGE ENGINEERINGの紹介:


ゲームプレイしたあとにちょっと来場者の方と話したりするのだが、話の流れでその方が楽器をやっていたり、音楽関係に興味がある場合は、このメーカーのページを示して話を広げるのが流れ:

実はこの playdate の設計には、スウェーデンの電子楽器メーカー teenage engineering が関わっている。
アナログなトーンだが最新の音楽デバイスを作るこのメーカーはサンレコ購読者の私は以前からよく知っており、OP-1の発売日には、デモ機が設置してある渋谷の楽器店までわざわざ足を運んだものだった(^^

今回 playdate にはそのハードメーカーが関わっており、当然 API には シンセでは普通の、波形発振からLFO、ADSRなどの命令が普通に揃っており、今回のGodiosでもシンセレベルで音を生成していて、wavなどは使っていない。矩形波、ノコギリ波から音を生成できる、そういう点でも MSXと同じく根元から作る感じがとても好きな、nord2Xユーザーな私である。そもそもストリームな音源を使う、というのはコントロールできるゲームプログラムの特性を一つ捨てることでもある。ゲームの展開変化動きに合わせて音も微細に変化させてこその表現だと思う。変化できないストリームを使うと、ゲームでちょっと変化させたくてもそっちのstaticな不変に寄せなければならない。これは私がなかなか3Dに手を出さない理由と似ている。一度作った3Dモデルの形状を自由にコントロールすることは難しい。するとそっちにプログラム側が寄せていかなければならない。つまりプログラム側が不自由になるのだ。


Luaのグローバル変数へのアクセス:


playdate では 言語Luaを使う。私もこの開発で初めて触ったのだが使えば使うほどその柔軟さと便利さに感心する。最も恐ろしいのが関数名や変数名というものも取り替えたりできる強力さだ。逆にいえば、SDKが途中でAPI名を変えても、こっちで古いまま使うことができるのだ(笑)なので、無名変数、というよくわからない概念もあるほどだが、正しく理解するとたしかに無名です(笑
で、Luaには グローバル変数と、ローカル変数の2タイプがあるのだが、そのグローバル変数を実行中に閲覧できる機能があり、それを来場者の方が開発するような人ならそれを説明したりするのだ。コンソールを通じて変更したりも、何か実行したりもできるのも説明してて楽しい。


さらにシミュレータで強力なのが、サンプラーである。ゲーム内関数の重さを測れる:


シミュレータを実機と繋いだ状態だと、実行中の実機での各関数の遅さを測れる。つまりどこが速度のボトルネックになっているかがわかるのだ。SDK自体は2020年頭に 1.0 になり、それまで最もボトルネックだった GC(ガベージコレクション)がかなり軽くなり、アクションゲームを作る最低限の実用に耐えられる環境になったが、それまでもわずかなフレーム落ちを防ぐため、このサンプラーにはかなり助けられた憶えがある。この機能もかなり見てて衝撃なので見せるのは楽しい。

通常ローカル変数はグローバル変数よりも速いのだが、実機上だと、使用済みのローカル変数の残骸がたまってガベージが発生しそれが重い。たしかに処理は速いがガベージの重さとの合計で逆に速度が落ちたりするので、そのあたりの苦労もあった。BASICでは基本だが、最初に定義した変数のアクセスが速くなるように、グローバルもローカルも同じ傾向にあったりで、いまさらBASICのテクニックが生きたりと、まあ技術は普遍ですなあ(笑


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今回TGS出展と連動して、Steamで頒布しているタロティカ・ブードゥーの大幅セールを行ったのだが、
それは、実はこの playdate の開発自体がタロティカから始まったからで、

8年前の2014年の東京ゲームショウにPanic社の人が来日していて、丁度インディーでMSXで出展していたタロティカを見て「何か playdate(当時はまだ別の名前だった)向けにオリジナルタイトルを作ってもらえないか」という依頼があったのです。クランクも何に使うかわからんが、こういうターゲットが判らない売れそうもない(失礼!)ハードに情熱を燃やす奇特な方たちには協力するのが私の主義なので、まだ実機もないシミュレータだけの環境から開発がスタートしたのでした(笑)
つまりタロティカの作品性が、現在のこのGodiosを実現させたと言ってもよいワケです!

ちなみに過去のGodiosについての記載はこちら:
- 砲台の角度:2016 5/16
- 反射アルゴリズム:2016 8/5
- 複数のゲーム性の融合:2018 3/4
- 戦艦エディター:2018 3/8

実はこっそりチラホラ記載はしていたわけです(笑


さらに言うと、実はコミケ申し込みの際に長年MSX次回作としてタイトル記載があったシューティングゲームがあったのですが、その実現がずっと足踏みしていた理由がクランクを使うことで解消したため、playdate側で実現したのが Godios、という経緯もあります。つまり既存の入力装置では実現できないアイディアだったわけです。


このページでは私の成果、発見のみ記述しております。


























※1
注釈