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第六章


たまたま入ったライブハウスで演奏するビジュアル系。ステージの周りにはグルーピが一杯。僕は会場のはるか後ろでカウチポテチ。ポリポリ。対岸の火事状態な気分。ラッキー!

だれた観客を煽るボーカル。観客がノッてこないので演奏はアイドリング。グロロ。
観客はバフン。燃やせばよく燃えるバフン燃料。乾燥していればいるほどよく燃える。世間は乾燥しているからねえ。

しかし困ったなあ。君たちはテレビ、僕は視聴率カウンター。インタラクティブはハヤリだけどさ、やっぱウルトラマンは最後にスペシウム光線でしょ。馬場は9カウントで起き上がるでしょ。オトコは顔でしょ。めんどーなやつはてきとーに合わすでしょ。困ったなあ。僕は視聴者、君には見えないわけだし。ほとんどの人は強制連行されステージの間際で集団虐殺ジェノサイド計画だ。

「わずかの希望にかけて集団体操ってとこね。ねーこんど早起きしてさーラジオ体操しにいこうよ。イチニ、イチニってさあ。」
「やっぱ自主的に強制労働よね。やっぱ時代は奴隷。奴隷よね奴隷。進んでやる奴隷ほど甘美なものはないとおもうのよ。あ、ジュース交換しとかなきゃー。」
カノコはさっさと離脱。これも修行なのか?

あきらめた演奏がはじまったころ、連行されていたヨーコが帰ってきた。いつのまにか帰ってきたカノコは横でジュースをちゅうちゅう。ストローつけるなんてめずらしいライブハウスだ。不況もなんのその無駄無駄光線まっしぐら。


「私らの世代って、ツマンナイことって生まれた時からあるの。子供の方がコンピュータに適応するでしょ?それと同じ原理なのよ。当たり前なの。楽しいことのケイケンがないからつまらないことは空気みたいなもん、いいなりになるのもアタリマエ、そうねえ、蛇口ひねると水が出るってことかな。」

理想がリセットされればいいってことらしいが、う〜ん、でも歴史は大事だし。

「ため込むと腐るってば!歴史はね、地下で美しく化石になればいいのよ。ありがたがられればいいのよ。ずんずんずんずん上からさー押さえられてさー、何百万トンの圧力でプッシュされてさあ、ぺっしゃんこ。見た目はそのままでもストーンな体になるのよ。なんということなの!人からは美しいだのきれいだの何億年だのきわめてめっずらしいだのいわれても本人はタダの石。動けないのよ。しゃべれないのよ。食べられないのよ。お子様の届かないタンスの上の、たべられません乾燥剤の気持ちなの。」

「歴史はね、一部にありがたられて一部が利用して全体に還元されればいいの。皆には必要ないものなのよ。」


ふと前を見ると化石化した演奏。この国で化石と化していない文化があるのだろうか。
リードオンリーカルチャー。プリセットカルチャー。使用度数を使い切ったら電話機の上に置いて約束の場所にいそげ。










この小説は私TPM.COによる未発表のオリジナル小説です。感想などお待ちしております。
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