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NHK総合TV「フランクステラ躍動の空間へ」から







(受賞作を前にタバコを吸っているステラは何を想っていたのでしょう?)

志は大事です。何をやるにも志がなければダメですからね。
その煙を見ている写真では、何をしようか考えていたんです。何をやるべきかではなく、どうやってやるかを考えていたのです。

普通、人は何をやるべきかを心配するけれど、アーティストである限り、何をやるべきかは決まっているのですから、そんなことは問題になりません。
例え何をやるべきか少し考えることはあっても、そのときにはだいたいのアイディアが浮かんでいます。それをどう実現していくかが問題なんです。


(物をつくる原動力となるプレッシャーみたいなものがありますか?)

ボクは物事を深く考えすぎないようにしています。まず、自信のあるところからとりかかり、同じようなことを繰り返します。すると「ああ、ボクはこれを繰り返しやっているけれど、この部分はまだあまり掘り下げていないな」なんて気づくことがあるのです。そういう部分を次に発展させることができるのです。

だいたい、一つの仕事というのは数限りないアイデアで成り立っているものです。その中のある部分を強調し充実させていくのです。
自分に自信があり正しいと思うなら、それを何度も繰り返すのです。アイデアというのは外から得られることもあるけれど、今まで気づかなかった自分の仕事の中から生まれることも多いのです。


(作品に使われている色の意味を観客に知ってもらいたいと思ったりしますか?)

ボクは感情を否定することに多くの時間を費やしてきました。フランク・ステラでありつづけるためにね(笑)。ボクが本当に感じていることや価値観、意味などを作品に持ち込んだらやっていけません。そこがボクの防衛ラインなんです。

ボクが追い求めているのは、もっと直接の衝撃、すばやいインパクトです。ボクにとってはこれが正しく機能するかどうかが大切で、それで十分なんです。直接的なインパクトにしか責任を持ちたくないんですよ。

ボクの考えでは見る人は犠牲者なのだから、その体験を長引かせたくないんです。ホラ、殺すなら苦しまないうちに、って言うじゃありませんか。


フランク・ステラ(談)



NHK総合、2000年5月20日20時〜20時50分放送

あこがれのアーティストに会いたい

吉田美奈子
フランク・ステラ躍動の空間へ